高等学校における農業教育の特徴
| 1.高等学校学習指導要領 農業編 (平成15年4月1日より実施) 第1章 総説 第1節 改訂の趣旨 1 改訂の経緯 今日、国際化、情報化や、科学技術の発展、環境問題への関心の高まり、少子高齢化社会の 到来など、社会の状況が大きく変化する中で、21世紀を生きる人材を育てるため、豊かな人間性 をはぐくむとともに、一人一人の個性を生かしてその能力を十分に伸ばす新しい時代の教育の在り 方が問われている。 (中略) また、専門高校の教育内容等に関しては、平成9年5月に、文部大臣から理科教育及び産業教育 審議会に対して、「今後の専門高校における教育の在り方等について」諮問を行った。理科教育及び 産業教育審議会においては、産業界で必要とされる知識や技術・技能の高度化を踏まえ、完成 教育としての職業教育ではなく、生涯学習の視点を踏まえた教育の在り方や技術革新、国際化、情 報化、少子高齢化等による社会の変化や産業の動向等に適切に対応するための新たな教科の創設 を含めた教育内容等について検討を進め、平成10年7月の答申において、専門高校における教育 の改善・充実のための視点として、次の6点を示した。 @将来のスペシャリストとして必要な専門性の基礎・基本の重視 A新教科「情報」「福祉」の創設等、社会の変化や産業の動向等に適切に対応した教育の展開 B生徒の多様な実態に対応し、生徒の学習の選択幅をできる限り拡大し、生徒一人一人の個性 を育て伸ばしていく教育の展開 C専門高校と地域や産業界とのパートナーシップ(双方向の協力関係)の確立 D生徒が専門高校卒業後に学習する継続教育機関との連携の推進 E各学校の創意工夫を生かした特色ある教育の展開 理科教育及び産業教育審議会は、改善充実の視点として次の6点を示した。 1.専門性の基礎・基本を重視した教育の展開 2.社会変化や産業動向に対応した教育の展開 3.生徒の選択幅拡大等個性を伸ばす教育の展開 4.地域や産業界とのパートナーシップ 5.継続教育機関との連携の推進 6.各学校の創意工夫を生かした特色ある教育の展開 2 改訂の趣旨 (前文略) 農業に関しては、次のように示された。 (イ)農業 我が国農業には、安全な食料の安定的な供給にとどまらず、国土環境の保全や余暇空間の提供 など多様な機能が期待されている。また、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施等の社会変化により、 農産物市場の国際化や食料消費の外部化・サービス化が進展するとともに、バイオテクノロジーや 環境制御などの農業革新が進展している。このような状況を踏まえ、農産物流通や人的交流等の国 際化と情報化の進展、バイオテクノロジーの急速な進展、地球環境問題、食品産業の発展及び農山 村滞在型余暇活動の活発化などへの対応に留意して内容の改善を図る。 教科の目標については、農業の各分野の学習を通して、農業に関する諸課題について関心をもち、 その解決を目指して思考を深め、創意工夫する力を育成するとともに、創造性。科学性を育成するとい う趣旨を明確にする。 3 改訂の要点 (1)目標の改善 農業の各分野の将来のスペシャリストとして必要な専門性の基礎・基本を確実に定着させる観点から 、「農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識を技術を習得させる」とし、産業社会等における農業 の役割を確実に理解させる観点から、「農業の社会的な意義や役割を理解させる」とするとともに、農業 の充実を図るために必要な創造性、科学性及び実践力を育成する観点から、「農業に関する諸課題を 主体的、合理的に解決し、農業の充実と社会の発展を図る創造的、実践的な能力と態度を育てる」と した。 以下 略 教科「農業」の基本的な考え方 これらの提言者趣旨を踏まえ、教科「農業」の改訂の基本的な考え方は、次のとおりとした。 1.自ら学び、自ら考える力を育成する 2.将来のスペシャリストとして必要とされる専門性の基礎・基本を確実に習得させる 3.農産物流通や人的交流等の国際化と情報化の進展、バイオテクノロジーの急速な進展、地球環境 問題、食品産業の発展、農村滞在型余暇活動の活発化へ対応する ★「農業」の改訂の考え方 農業各分野の変化への対応 ↓ 自ら学び、自ら考える、生きる力の育成/専門性の基礎・基本の確実な習得 ↓ 人格の完成/社会形成者の育成→高等学校教育の目標 ★「農業」の目標 農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ ↓ 農業の社会的な意義や役割を理解させるとともに、 ↓ 農業に関する諸課題を主体的、合理的に解決し、農業の充実と社会の発展を図る創造的、実践的な 能力と態度を育てる (2)教育内容の改善 ![]() ア 教育内容の厳選と基礎・基本の徹底 農業の各分野の基礎的・基本的な知識を確実に習得させるため、各科目の内容の厳選を図るととも に、科目数を縮減した。また、各分野に共通する基礎的な科目として「農業科学基礎」と「環境科学基礎」 の2科目を設置した。 イ 選択幅の拡大と個性の伸長 生徒一人一人の多様な個性の伸長を図る観点から選択幅を拡大するため、原則履修科目数を従前の 4科目から、「農業科学基礎」又は「環境科学基礎」のいずれか1科目と「課題研究」の2科目に縮減した。 ウ バイオテクノロジーの急速な進展への対応 農業各分野におけるバイオテクノロジーの急速な進展に対応するため、バイオテクノロジー関連分野の 基礎的な科目として、「植物バイオテクノロジー」と「動物・微生物バイオテクノロジー」の2科目を設置した。 エ 地球環境問題への対応 地球環境問題の増大や地域環境の保全、創造の必要性の増大に対応するため、環境分野の基礎的な 科目として「環境科学基礎」を設置するとともに「森林科学」「森林経営」「造園技術」など環境関係の科目の 内容を改善した。 オ 農山村滞在型余暇活動の活発化への対応 農山村滞在型余暇活動の活発化に対応するため、農業生物の特性を生かした対人サービスを学習する 科目として「生物活用」を設置するとともに、農業・農村の特性を生かした対人サービスを学習する科目とし て「グリーンライフ」を設置した。 農業の各分野とは 「農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術」の各分野については、農業を取り巻く環境の 変化等に適切に対応する観点から、次のような区分を想定している。 1.農産物の生産・加工・流通などを主として食料供給に関する分野 2.国土・環境の保全・創造と素材の生産などを主として環境創造と素材生産に関する分野 3.農業、食品産業等でのバイオテクノロジーの利用などを主としてバイオテクノロジーに関連する分野 4.農業生物や農業・農村の特性を活用したサービスなどを主としてヒューマンサービスに関連する分野 |
各科目(下記の1〜29)ごとの詳しい目標や内容は文部科学省のページをご覧下さい。
以下の科目が掲載されています(これらの科目は標準的な科目です。各学校で独自に設定する
学校設定科目なども多数あります)
1.農業科学基礎(原則履修科目)
2.環境科学基礎(原則履修科目)
3.課題研究(原則履修科目)
4.総合実習(共通科目)
5.農業情報処理(共通科目)
6.作物(食料供給分野科目)
7.野菜(食料供給分野科目)
8.果樹(食料供給分野科目)
9.草花(環境創造素材生産分野科目)(ヒューマンサービス関連分野科目)
10.畜産(食料供給分野科目)(ヒューマンサービス関連分野科目)
11.農業経営(食料供給分野科目)
12.農業機械(食料供給分野科目)
13.食品製造(食料供給分野科目)
14.食品化学(食料供給分野科目)
15.微生物基礎(食料供給分野科目)
16.植物バイオテクノロジー(バイオテクノロジー関連分野科目)
17.動物・微生物バイオテクノロジー(バイオテクノロジー関連分野科目)
18.農業経済(食料供給分野科目)
19.食品流通(食料供給分野科目)
20.森林科学(環境創造素材生産分野科目)
21.森林経営(環境創造素材生産分野科目)
22.林産加工(環境創造素材生産分野科目)
23.農業土木設計(環境創造素材生産分野科目)
24.農業土木施工(環境創造素材生産分野科目)
25.造園計画(環境創造素材生産分野科目)
26.造園技術(環境創造素材生産分野科目)
27.測量(環境創造素材生産分野科目)
28.生物活用(ヒューマンサービス関連分野科目)
29.グリーンライフ(ヒューマンサービス関連分野科目)